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ソーシャルレンディング(貸金)における 利率とデフォルト確率が満たすべき関係

ソーシャルレンディング(貸金)には、利息が得られるメリットがある一方、
元本と利息が支払われないかもしれないというデフォルトのリスクがある。
投資すべきかどうかについて、利率とデフォルト確率の満たすべき関係について計算する。

デフォルトした時に返済が全くない場合

これは最悪のケースである。しかし担保を取っていない場合はあり得る。

元金を v , 貸付期間中の利率 (年利ではない) を α, 期間中のデフォルト確率を p とする。
デフォルトが発生しないで元本・利息を受け取れる確率は 1 - p で、その時の受取額は (1 + α)・v である。
デフォルトが発生する確率は p で、その時の受取額は 0 である。
したがって、受取額の期待値 E1
 E1 = (1 - p)・(1 + α) v + p・0 = (1 - p)・(1 + α) v
受取額の期待値 E1 が元金 v を越えなければ、投資をすべきではない。よって、
 E1 > v
 (1 - p)・(1 + α) v > v
その式を p について整理すると、
 p < α / (1 + α)

計算例

期間中の利率が α = 0.05 の場合、
 p < α / (1 + α) = 0.05 / (1 + 0.05) = 0.0476
よってデフォルト確率が 4.76 % 未満でなければ投資すべきでない。ただ、デフォルト確率を事前に予測するのは難しい。

デフォルトした時に一部は返済される場合

デフォルトした場合に元本の一部、割合で β (0 ≦ β ≦ 1) が返済される場合を考える。
デフォルトが発生しないで元本・利息を受け取れる確率は 1 - p で、その時の受取額は (1 + α) v である。
デフォルトが発生する確率は p で、その時の受取額は β v である。
したがって、受取額の期待値 E2
 E2 = (1 - p)・(1 + α) v + p β v
受取額の期待値 E2 が元金 v を越えなければ、投資をすべきではない。よって、
 E2 > v
 (1 - p)・(1 + α) v + β v > v
その式を p について整理すると、
 p < α / (1 + α - β)

計算例

期間中の利率が α = 0.05、 デフォルトした場合に元本の β = 0.7 が返済される場合、
 p < α / (1 + α - β) = 0.05 / (1 + 0.05 - 0.7) = 0.143
よってデフォルト確率が 14.3 % 未満でなければ投資すべきでない。
デフォルトした時に返済が全くない場合と比べて、許容度は大きくなる。