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エアコン(冷房)を切ると、急に蒸し暑くなるのはなぜか?

室温がちょうどよくなってエアコン(冷房)の電源を切ると、途端に蒸し暑くなることがある。それは錯覚でない。理由がある。

冷房運転中に室内機で起きていること

エアコン自体の仕組み(冷媒の相変化など) の話は省略して、室内機で起きていることについて説明する。
室内機の内部にはフィンと呼ばれる金属製の部品がある。
フィンは熱交換を担うもので、熱交換の効率をよくするため表面積が大きくなるように複雑な形状をしている。
冷房の場合には、冷媒で冷却されたフィンに送風機で室内の空気を当てて空気の温度を下げる。

ところで、空気には水分が水蒸気として含まれている。
空気中に含むことができる水蒸気の量は気温によって変化し、低温では少なく高温では多い。
エアコンのフィンで空気の気温が下がると、空気が含むことができる水蒸気の量が減少するので、フィンの表面に水滴として現れる。
これが結露である。結露で出た水はエアコンが適切に施工されていれば、室外にドレインとして排出されるようになっている。
従ってエアコンで冷房運転すると、副次的な効果として除湿もできる。

冷房運転停止後に室内機で起きていること

冷房運転後のエアコンのフィンは湿った状態である。
複雑な形状をしたフィンが湿ったままだと、カビが生えやすい。
このため最近のほとんどのエアコンは、冷房を切った後 一定時間 小風量で送風をしている。
送風によってフィンについた湿気を飛ばすのである。
湿気の排出先は室内であるため、エアコンを切った途端 室内の湿度が上昇し蒸し暑く感じるのである。
つまりエアコン運転中は除湿の作用があるのに対し、停止後は加湿という正反対の作用をする。

対策

結露の発生自体は空気の物性なので避けられない。快適に過ごすためにどうすればよいか。

電源オフ後、窓を開ける

外気の温度・湿度が適当な場合は、窓を開けて換気するのが手っ取り早い。換気はエアコンの送風が止まるまで行う。

電源オフ後、除湿器を使う

除湿器でエアコンから排出される湿気を回収する。

電源オフ後、部屋を仕切る

部屋を仕切ることができるなら、仕切ってエアコンのない方に移動する。例えばエアコンを切ってから寝る場合、仕切ってエアコンのない方で寝る。

いっそのこと電源を切らない

エアコンは始動時に電気を多く消費するが、定常状態ではそれ程消費しない。つけっぱなしにする。

やるべきでないこと

エアコンの機種によっては、冷房停止後の送風を強制的に止めることができる。しかし、これを利用するとカビの発生原因になるので使うべきでない。

暖房時は?

冬の暖房時は、結露は室外機で起きるので問題になることは少ない。気象条件によっては結露した水分が霜になる。
フィンに霜がつくと熱交換の効率が下がるので、自動的に霜取り運転が実行される。