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アレニウス則による寿命予測

以下の文で、温度は全て絶対温度(K) である。

アレニウス則

材料や部品の温度に関する寿命予測や加速試験にはアレニウス則が用いられる。
寿命 h (時間) は 絶対温度 T (K) の逆数のべき乗に比例する、という法則である。
係数を a, b とすると寿命を表す式は次のようになる。(底はeでなくてもよい)
 h = exp(a / T + b)

a, b は対象によるが、一例のグラフを下図に示す。横軸は温度の逆数で線形目盛り、縦軸は対数目盛りであることに注意する。
電解コンデンサーの寿命は 10℃の温度上昇で 1/2 になる、というのは常温付近での一次近似である。



2つの異なる温度に晒した場合

以上は、同じ温度に連続的にさらされた場合の寿命である。2つの異なる温度に晒した場合について考える。
温度 T1 での寿命が h1、温度 T2 での寿命が h2 である時に、 温度 T1 に時間割合 a1、温度 T2 に時間割合 a2 で晒した場合の寿命 htotal を求める。
寿命の消耗速度 (単位時間で寿命の減少量) は寿命の逆数 1/h で、寿命の到達は (時間)/h の累積が 1 になった時だと考えると、
 1 = a1・htotal / h1 + a2・htotal / h2
が成り立つので整理すると、
 1 = htotal・{ a1 / h1 + a2 / h2 }
 htotal = 1 / { a1 / h1 + a2 / h2 }

特に T1 と T2 に大きな温度差(T1 > T2とする)があり、2つの温度における寿命が極端に異なる場合は a1 / h1 >> a2 / h2 が成り立ち、
 htotal ≒ h1 / a1
となる。すなわち、高い方の温度における寿命とその時間割合だけでほぼ決まる。

一般化、複数の異なる温度に晒した場合

温度 Ti での寿命が hi で時間割合 ai (i=1…N) の場合に一般化すると、
 1 = Σai
 htotal = 1 / { Σai / hi }

積分で連続系の式にすると、
 1 = ∫a(T) dT
 htotal = 1 / { ∫a(T) / h(T) dT }