三角フラスコに水を満たした時の底面と側面にかかる圧力と力の関係を計算する。
フラスコ自体の質量は考えない。 0 とする。
フラスコの形状を単純化して円すいと考える。
円すいの底の半径を R, 高さを H とする。水の密度を ρ , 重力加速度を g とする。
座標系を円すいの頂点を原点として、鉛直下向きを x軸をする。
円すいの体積は 1/3 × π R2 × H なので、水全体の質量 M は、
M = 1/3 × ρ π R2 H
である。水全体に作用する重力 Fw は、
Fw = Mg = 1/3 × ρ g π R2 H
である。
密度 ρ の液体に関して、深さ x の地点の圧力は、ρ g x である。
よって、底面の圧力 Pbottom は、
Pbottom = ρ g H
底面の面積は π R2 なので、底面が水から受ける力 Fbottom は、
Fbottom = Pbottom π R2 = ρ g π R2 H = 3 Fw
三角フラスコの底面が水から受ける力 Fbottom は、水全体に作用する重力 Fw より 3倍大きい。
これは矛盾ではない。別にフラスコの側面が受ける力があるためである。
円すいの中心線と側面がなす角 を θ とする。θ について、tan θ = R / H か成り立つ。
深さ x における円すいの半径 r(x) は、
r(x) = (R/H) x
深さ x における水の圧力 p(x) は、
p(x) = ρ g x
深さ x ~ x+dx に対応する 側面の面積 dS は、
dS = 2 π r(x) / cos θ dx = 2 π R / (H cos θ) ・x dx
水圧の力は面に対して垂直にかかるが、その鉛直方向成分の大きさは sin θ を乗じたものとなる。
よって深さ x ~ x+dx の側面が受ける力のうち、x軸 (鉛直方向) の成分 fx dx は、
fx dx = -p(x) dS sin θ = - 2 ρ g π R sin θ / (H cos θ)・x2 dx = = - {2 ρ g π R tan θ / H }・x2 dx
マイナスは力の向きが x軸の負の方向、すなわち鉛直上向きであることを意味する。tan θ = R / H なので、
fx dx = - 2 ρ g π (R / H)2・x2 dx
側面全体 x = 0 ~ H が水から受ける鉛直方向の力 Fside は、fx を積分して
Fside = ∫fx dx (x=0 to H)
= - 2 ρ g π (R / H)2 ∫x2 dx (x=0 to H)
= -2/3 × ρ g π R2 H
= -2 Fw
つまり三角フラスコの側面には向きが鉛直上向きで、大きさが水全体に作用する重力 Fw の 2倍の力がかかることになる。
三角フラスコ全体の水圧による合力 Fsum は、底面 Fbottom と側面 Fside の和で、
Fsum = Fbottom + Fside
= 3 Fw - 2 Fw = Fw
となり水全体に作用する重力の大きさと一致する。
三角フラスコ(円すい) に質量 M の水を満たすと、
水圧は三角フラスコの底を 3Mg の力で鉛直下向きに、側面を 2Mg の力で上向きに押す。合力は下向き Mg となる。