液体が気体に変化する場合、体積は何倍になるかを計算してみる。
気体の体積は温度で大きく変化するので、沸点の時の体積とする。圧力は大気圧で一定とする。
水の分子量は 18 [g/mol]である。
液体の水の密度は 1 [g/cm3] なので、1mol当りの体積は 18 [cm3/mol] である。
標準状態(1 atm, 0℃ = 273 K)の気体の体積は 22.4 [L] である。
沸点 100℃ = 373 K における体積は、シャルルの法則から
22.4 × 373 / 273 = 30.6 [L]
である。よって、液体から気体への変化した場合の体積の膨張率は、
30.6 × 1000 / 18 = 1700 倍
である。
水以外の物質に一般化する。
物質の分子量を M [g/mol], 液体の密度を ρ [g/cm3], 沸点を T [K] とすると、膨張率 x は
x = ( 22.4 × 1000 × ρ / M ) × ( T / 273 )
である。
気体の状態方程式 pV=nRT から計算することもできる。
気体定数を R=8.314 [J/mol・K] とすると、気体 1 molの体積は
Vg = RT / p [m3/mol]
液体 1 mol の体積は、
Vl = M / ρ [cm3/mol]
よって体積の膨張率は、
x = 106 × Vg / Vl = ( 8.314 × 106 / 101315 ) × ( T ρ / M )
この式は上式と同じである。
分子量 46, 密度 0.789 [g/cm3], 沸点 78 [℃] = 351 [K] なので、
x = ( 22.4 × 1000 × 0.789 / 46 ) × (351 / 273) = 494 倍
分子量 74, 密度 0.713 [g/cm3], 沸点 35 [℃] = 308 [K] なので、
x = ( 22.4 × 1000 × 0.713 / 74 ) × (308 / 273) = 243 倍
分子量 201, 密度 13.5 [g/cm3], 沸点 357 [℃] = 630 [K] なので、
x = ( 22.4 × 1000 × 13.5 / 201 ) × (630 / 273) = 3472 倍