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密閉された水の温度上昇と圧力上昇の関係

密閉された(定積) 水の温度上昇 dT と圧力上昇 dp の関係を計算する。

水の温度変化 ∂T に対する体積変化 ∂v の割合は、体積膨張率 β で表現される。
β = 1/v × (∂v/∂T) = 0.21 × 10-3 [K-1]
値は理科年表より 20 ℃の場合である。 β は 4 ℃で最小値 0 となり、4 ℃から離れると大きくなる。

水の圧力変化 ∂p に対する体積変化 ∂v の割合は、圧縮率 κ で表現される。
κ = -1/v × (∂v/∂p) = 0.45 [GPa-1]
値は理科年表より 20℃, 1atmの場合である。 κ は圧力 p が大きくなるにつれ、小さくなる傾向がある。

体積変化 dv は、温度変化によるものと圧力変化によるものの和なので、
dv = (∂V/∂T) dT + (∂V/∂p) dp
= (β v) dT + (- κ v) dp

定積なので dv=0 。よって
(β v) dT + (- κ v) dp = 0
(dp/dT) = β / κ

値を代入すると、
(dp/dT) = 0.21 × 10-3 [K-1] / 0.45 [GPa-1] = 4.7 × 10-4 [GPa/K] = 0.47 [MPa/K]

1 atm = 約0.1 MPa である。
よって、温度 1K の上昇で、約 5気圧、温度 10K の上昇で約 50気圧の上昇をもたらす。
密閉された容器に隙間なしで、水などの液体を詰めると温度変化で圧力が上昇し破壊する恐れがある。

参考 気体の場合

気体の場合は、ボイル=シャルルの定理より、
PV0/T = P0V0/T0
P = P0/T0 × T
(dP/dT) = P0/T0

常温常圧付近として、P0 = 1 atm = 約0.1 MPa, T0 = 300 K を代入すると、
(dP/dT) = 105 [Pa] / 300 [K] = 333 [Pa/K] = 3.3 × 10-4 [MPa/K]

よって、温度 1K 当りの圧力上昇は水と比較して 1/1400 程である。