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蓄圧された気体で液体を噴出させる装置の噴出量の数式モデル


蓄圧された気体で液体を噴出させる機械がある。例えば、農薬の蓄圧式噴霧器や消火器などである。
それらは噴出直後は勢いが良いが、だんだんと勢いが弱くなる。ここではその流量の数式モデルを作成する。

設定

下図のような容器を考える。容器には液体と気体が入っていて、内部気体の圧力によって液体が噴出する。
容器内の気体の体積を V , 圧力を p とする。時刻 t=0 から噴出するとし、それぞれの初期値を V0, p0 とする。
大気圧を pair とする。温度は全体に一様で変化しないものとする (条件によっては圧力・体積変化に伴う温度変化まで考慮する必要がある)。
液体は圧力によって体積が変化しない非圧縮性流体とする。

数式モデル

この装置において噴出するのは液体なので、液体が減少して気体が管に達するまでは容器内の気体のモル数(質量でもよい)は変化しない。
よってボイルの法則より次式が成り立つ。
 p0V0 = pV

液体の噴出量 (流量, 単位時間当たりの量) x は、容器内外の圧力差 p - pair に比例すると考える。
ここで流量を質量で考えるか体積で考えるかという問題が生じるが、液体が非圧縮性流体ならば比例定数が異なるだけでどちらで考えても同じである。
ここでは体積として考え、比例定数を a とする。
 x = a (p - pair)

液体の噴出量の分だけ気体の体積 Vも変化するので
 dV/dt = x = a (p - pair)

ボイルの法則の式を p に代入すると、Vに関する微分方程式ができる。
 dV/dt = a (p0V0/V - pair)

これを解けば気体の体積 V が分かり噴出量 x も分かるが、厳密解は得られそうにないので数値的に解くしかない。
現実的には 2種類の経過のパターンがあり、有限時間で気体が管に達するパターンと達する前に内部圧力が大気圧 pair と等しくなり噴出が止まるパターンがある。

数値計算例

V0 = 2 [ℓ] , p0 = 2 [atm] , pair = 1 [atm] , a = 10-2 [ℓ/(s・atm)] の数値計算例である。