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並列接続されたアンバランスな電池に電流が逆流する条件

完全に同特性の電池を並列(パラ)に接続しても特に面白いことは起こらないが、通常は電池は多少の個体差がある。
アンバランスな電池を並列接続した場合に、電流が逆流する(充電される)条件を求める。

等価回路

負荷抵抗を R, 1つ目の電池の開放電圧を V1, 内部抵抗を r1, 電流を I1、2つ目の電池の開放電圧を V2, 内部抵抗を r2, 電流を I2 とする。
電流は、電池の+極から流れ出る方向を正とする。
開放電圧と抵抗に関しては、全て正、すなわち V1 > 0, V2 > 0, R > 0, r1 > 0, r2 > 0 が成り立つ。
電流 I1, I2 については、正にも負にもなりうる。

電位関係から立式すると次のようになる。
V1 = R ( I1 + I2 ) + r1 I1   【式1】
V2 = R ( I1 + I2 ) + r2 I2   【式2】

I1, I2 について解く。
I1 = { (R + r2) V1 - R V2 } / ( R r1 + R r2 + r1 r2 )   【式3】
I2 = { (R + r1) V2 - R V1 } / ( R r1 + R r2 + r1 r2 )   【式4】

式3, 式4 の分母は正なので、逆流する条件 (電流が負になる) は分子が負になることである。
従って、I1 が逆流する条件は、
(R + r2) V1 < R V2  【式5】
r2 V1 < R (V2 - V1)  【式6】

よって電池1で逆流が発生するのは V2 > V1 で、負荷抵抗が r2 V1 / (V2 - V1) より大きい場合である。

同様に、I2 が逆流する条件は、
(R + r1) V2 < R V1  【式7】
r1 V2 < R (V1 - V2)  【式8】

よって電池2で逆流が発生するのは V1 > V2 で、負荷抵抗が r1 V2 / (V1 - V2) より大きい場合である。
どちらの場合でも、負荷抵抗が大きい場合に逆流が発生しやすくなる。

無負荷、開放の場合 (R → ∞)


極限の場合を考えてみる。まず、無負荷の場合である。
I1 = (V1 - V2) / (r1 + r2)
I2 = (V2 - V1) / (r1 + r2) = -I1

従って、少しでも V1 と V2 に違いがあれば、一方の電池に逆方向に電流が流れる。

短絡の場合 (R → 0)


次に短絡の場合である。
I1 = V1 / r1
I2 = V2 / r2

短絡の場合は、電圧降下は全て各電池の内部抵抗で生ずる。電流値はもう一方の電池の影響を受けない。逆流は発生しない。

まとめ

アンバランスな電池を並列接続した場合、負荷が軽い程 一方の電池に逆流が発生する可能性が大きく、負荷が重い程 逆流が発生する可能性は小さくなる。
なお、普通の化学電池の場合、アンバランスがあっても元気な電池の方から供給される電流が大きくなり、
消耗が早くなるのでアンバランスは自然に解消される。通常は気にする必要ない。