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偏りがあるじゃんけんであいこになる確率と勝負がつくまでの平均回数

数学の問題においては、じゃんけんのグー・チョキ・パーは等確率(=1/3) と仮定することが多いが偏っている場合はどうなるのか。
例えば、複雑な形のチョキは人類に共通して出現確率が低いかもしれない。
二人でジャンケンする時 二人の出し方に共通の偏りがある場合に、あいこになる確率と勝負がつくまでの平均回数を計算してみる。
なお、勝敗は偏り方が共通なら五分五分で優劣はない。

設定

グーを出す確率を α とする。チョキを出す確率を β とする。パーを出す確率は 1 - α - β となる。
あいこの確率を P とする。

あいこになる確率

二人であいこになるのは同じ手を出した時なので、あいことなる確率は次式となる。
 P = α2 + β2 + (1 - α - β)2
  = 2 α2 + 2 β2 + 2 α + 2 β + 2 α β + 1

確率なので α と β の範囲は、0 ≦ α ≦ 1、0 ≦ β ≦ 1、0 ≦ 1 - α - β ≦ 1 である。
グラフで描くと下の青色の部分(△OPaPb) となる。


確率 P は ∂P/∂α = ∂P/∂β = 0 となる 点Pc (α, β) = (1/3, 1/3) で極値をもつ。

あいこの確率 P が最大となるのは、点O、点Pa、点Pb であり、この時 P=1 である。
これは二人が同じ手しか出さない場合である。永遠にあいこが続く狂気のジャンケンである。

あいこの確率 P が最小となるのは、点Pc であり、この時 P=1/3 である。
これは、グーチョキパーに偏りがない場合である。つまり、偏りがない時が最もあいこになりにくい。
例えば、出現確率が 30%:30%:40% に偏っている場合を計算すると、P = 0.34 である。これは、偏りがない場合と比較して 2% 大きい。
ちなみに、一つの手を全く出さず 他の二つの手を等確率で出す場合、すなわち 50%:50%:0% の場合は、P = 0.5 である。

勝負がつくまでの回数の期待値

勝負がつくまでの回数の期待値 N を計算する。
i 回で勝負がつくのは、(i-1)回あいこが続いた後 次の1回があいこでない場合なので、その確率は (1 - P)・Pi-1 となる。
従って、勝負がつくまでの回数の期待値は次式となる。
 N = (1 - P)・1 + (1 - P)・P・2 + (1 - P)・P2・3 + (1 - P)・P3・4 + … + (1 - P)・Pi-1・i + …
  = (1 - P) × { 1 + 2・P + 3・P2 + 4・P3 + … + i・Pi-1 + … }

この式を変形と等比級数の和の公式で計算すると、
 N = 1 / (1 - P)

偏りがない場合は、P = 1/3 なので、N = 3/2 = 1.5 になる。
出現確率が 30%:30%:40% に偏っている場合は、P = 0.34 なので、N = 50/33 ≈ 1.515 となる。
出現確率が 50%:50%:0% に偏っている場合は、P = 0.5 なので、N = 2 となる。