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ステファン=ボルツマンの法則を利用した惑星の表面温度の計算

地球の温度

地球に到達する太陽光のエネルギー密度は、p0=1.38 [kW/m2] である(太陽定数)。
この値とシュテファン=ボルツマンの法則を使って、地球の表面温度 T0 を計算してみる。

地球の半径を R, 吸収率を α, 放射率を ε, ステファン=ボルツマン定数 σ=5.67 × 10-8 [W/m2/K4] とする。
大気と自転 (昼・夜)は考慮しない。太陽光は全球面に一様に入射して、放射すると考える。

太陽から地球に入射するエネルギーは、太陽方向からの投影面積を考慮すると、
(入射エネルギー) = α p0 × π R2

地球から宇宙方向へ放射するエネルギーは、地球の表面積を考慮すると、
(放射エネルギー) = ε σ T4 × 4 π R2

入射エネルギーと放射エネルギーが釣り合っている、及び 吸収率 α = 反射率 ε (※注) と仮定して式を整理すると、
p0 = 4 σ T4
T0 = (p0 / 4σ)1/4
となり、地球の半径は消えてシンプルな式になる。

値を代入してみると、
T0 = (p0 / 4σ)1/4 = {1380 / (4 × 5.67 × 10-8}^1/4 = 279 [K] = 6 [℃]
と、単純なモデルの割りにはそれらしい値が得られる。

※注 入射するスペクトルと放射するスペクトルが異なるため、実際には 吸収率 α と反射率 ε は一致しない。

惑星の温度

同様にして、惑星の表面温度も計算できる。
地球と太陽の距離を 1 とする天文単位 au を用いて、太陽と惑星との距離を a [au]とする。
惑星の位置での太陽光のエネルギー密度 p は、距離の2乗に反比例するので、地球 p0を基準とすると、
p = p0 / a2

エネルギーの式に代入して、Tについて整理すると
T = (p0 / 4σ)1/4/√a

つまり、惑星の絶対温度 T は、天文単位 a の平方根に反比例する。
各惑星について計算した温度と、実際の表面温度を次に示す。

惑星軌道半径計算した表面温度実際の表面温度備考
[au][K][℃][℃]
水星0.3871448.1 174.9 -180 to +400大気が薄いため温度差が大きい
金星0.7233327.8 54.7 470CO2の温室効果
地球1278.8 5.6 15
火星1.5237225.8 -47.3 -55
木星5.2026122.2 -150.9 -145
土星9.554990.2 -183.0 -178
天王星19.218463.6 -209.6 -244
海王星30.110450.8 -222.3 -218
冥王星39.76744.2 -228.9